フィラリア薬の個人輸入と使用について
近年、インターネットの普及により、個人でも複雑な手続きなしに医薬品を輸入・購入できるようになってきました。その影響もあり、当院でもフィラリア薬に関するご相談をいただくことが増えております。
結論から申し上げますと、当院は フィラリア薬の個人輸入を推奨しておりません。
その理由は大きく3つあります。
1. お薬の安全性が確保できない
2. 輸入手続きが法律に抵触する可能性がある
3. 病院としての責任を果たせない
薬の安全性について
病院で処方される薬よりも明らかに安価なものは、成分が正しく含まれていない、あるいは偽薬(プラセボ)の可能性があるものも存在します。また、輸送や保管において温度・湿度管理が不十分であれば、たとえ本物の医薬品であっても効果が失われることがあります。
正規品の価格には「製造からお手元に届くまでの安全管理のコスト」が反映されています。価格が極端に安いものは、その安全性を犠牲にしている可能性が高いとご理解ください。
法律上の問題について
フィラリア薬は「要指示薬」に指定されており、獣医師の処方がなければ購入できません。輸入手続きにも獣医師の処方箋や指示書が必要です。
(参考:農林水産省通達 https://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/yakuzi/y_import/attach/pdf/kakunin-8.pdf )
さらに、個人輸入はあくまで「ご自身で使うこと」を前提としているため、友人同士でまとめ買いして分け合うなどの行為は違法となります。輸入代行業者を利用する場合も、処方箋を提示せずに販売しているケースがあり、その場合は業者自体が違法行為を行っていることになります。
病院としての責任について
個人輸入や輸入代行による入手は、法に抵触する可能性が非常に高いため、当院として容認することはできません。そのため、輸入薬を使用する前提でのフィラリア検査や診療のご依頼についても、安全性と法令遵守の観点からお断りしております。
最後に
皆様が安心して医薬品をご使用いただけるよう、当院では必ず正規のルートで安全性の確認された薬をご提供しております。ご不安やご不明な点がございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。